子どもたちみんなが、夢中になれるものと出会ってほしい。私たちはいつも、そう願っています。信学会ではこのサイトを通じて、夢中で何かを続けてきた人たちから、見つけ方や向き合い方などをうかがい、お伝えしていきます。
長野放送アナウンサー 重盛赳男さん
おもしろい
長野放送の夕方のニュース番組「NBSみんなの信州」でキャスターを務める重盛赳男さん。忙しい仕事のかたわら、TOEICで高得点をキープしたり、フルマラソンを2時間台で走ったりと、公私ともに努力を積み上げています。仕事に対する思いや、没頭し続けるコツなどを聞きました。(以下、敬称略)
達成できなかったら、すぐ計画を立て直す
― プライベートのこともお聞きしていきたいんですが、驚いてしまうのがフルマラソンが2時間台なんですよね!?2017年の初挑戦から、約3年でタイムがほぼ半分くらいになったと聞きました。
重盛:半分は言いすぎです(笑)。最初の挑戦が仕事でレポートをしながらということもあり、タイムが5時間24分だったんです。そのときに、本気で走ったらどうなるのかと思って練習をし始めたのがきっかけですね。
― さすが元陸上部、とはいえ2時間台はすごいですよね。どのくらい練習されるんですか?
重盛:月200kmくらい走っています。でも、2時間台で走る人の中では練習量は少ない方だと思います。
― 少ない方なんですね!でも、それだけのタイムを維持できているのはなぜですか?
重盛:忙しい週とそれほどでもない週に分けて、「では今週は50km走ろう」というふうに200kmの目標を分解していきます。そのうえで、達成できなかったら、計画をすぐ立て直します。あきらめるのではなく、下方修正して、続ける。
― 立て直すというのがポイントなんですかね。達成できないと嫌になってしまう人も多いと思います。
重盛:私、計画を立てるのと、計画通り実行するのが苦手なんです。だから、できなくてもすぐ気持ちを切り替えて、下方修正した目標を立てるようにしています。
― それは「計画を立てるのが苦手」とは言わない気がします…。長野放送のホームページにも「計画を立てるのが苦手」と自己紹介していますよね? 削除しておいてください(笑)。
重盛:検討します(笑)。
時間がないから集中できる
― 続いてTOEICの話なんですが何と970点!TOEICって1000点満点くらいでしたよね?ほぼ満点じゃないですか!
重盛:満点は990点です。でもこれは、アメリカに住んでいたことで貯金ができたということが大きくてですね。
― でも、TOEICってビジネス向けですよね。幼い頃、海外で暮らしていても時を経てまったく話せなくなったケースをたくさん見てきています。今も勉強しているんですか?
重盛:実は…。今も勉強を続けていて、試験も受け続けています。
― そのモチベーションはどこから来るんですか?
重盛:英語力を維持したいですし、海外から信州に来た方にインタビューしたり、いつか仕事にも生かせたらいいなあと思って。
― なかなか必要に迫られないとできないですよ。見習いたいことばかりです。
重盛:時間がないから逆に集中できるという部分もあります。重要な課題が何なのか見出さないと成果が出ませんし。
得意なことから頑張ると自信と安心につながる
― 性格は負けず嫌いですか?
重盛:そういうところはあるかもしれません。中学2年から3年まで信学会の塾に通っていたんですが、学校と違って成績優秀者は順位と名前が貼り出されたんです。そして、私が通っていた教室では、成績の良い順に後ろから座るという決まりがあったので、一番後ろに座りたくて頑張っていました(笑)。競争する意識が高まったのはよかったですね。
― 小学生時代のほとんどをアメリカで暮らしていたそうですが、よかったと思うことはどんなところでしょう?
重盛:スポーツでいうと、日本のように「この競技を始めたら、ひたすらそれだけ」という感じではないんですね。今週はサッカー、来週は野球というように。スポーツに限らず、いろんなことにチャレンジして経験できたのはよかったですね。得意なこと、不得意なことが見えてくるので。
― 日本に戻ってきてから大変だったことはありますか?
重盛:一応、日本語補習校というところで週に一度は授業を受けていたんですけど、帰国してみたらみんなが当たり前にできることができないということはありました。リコーダーを吹けない、水泳ができない、あと「信濃の国」が歌えないとか。
― 信濃の国は仕方ないですね(笑)。水泳もですか。
重盛:アメリカでは水泳を習わないので、中学までほぼ泳げませんでした。でも高校2年のときにこっそり特訓して、人並みには泳げるようになりました。
― やっぱり負けず嫌いですね。勉強はどうでしたか?
重盛:もちろん英語はアドバンテージがあったんですけど、他はそこまでできなくて。自分は暗記系が得意だと思っていたので、とりあえず社会科から頑張り始めました。一つの教科ができるようになると、「やれば成績は上がるんだ」という自信と安心につながるので。努力して結果を出すと、次も頑張れる。それを積み重ねることが大事だと思います。そのへんの積み重ね方、結果の出し方というのは、昔から折にふれて父が教えてくれました。
― これから新たに頑張りたいことはありますか?
重盛:キャスターの仕事はもちろんなんですが、ずっとスポーツ中継にも憧れてきました。最も予想がつかないコンテンツなので、そこに対応する醍醐味があると思っています。まだ少ししか経験できていないので、もっといろんなスポーツに関わるお仕事ができたらと思っています。
― 重盛さんの思いや育った背景がお聞きできて、あらためてニュースを見るのが楽しみになりました。ありがとうございました!
Profile
1991年生まれ、長野県伊那市出身。早稲田大学国際教養学部卒。鹿児島の放送局にアナウンサーとして4年間勤務したのち、地元・長野県の長野放送に入社。2019年から夕方のニュース「NBSみんなの信州」でキャスターを務める。マラソンの自己ベストは2時間52分52秒。TOEICは970点。